第1回 NPO法人pico体験的勉強会
 「びわ湖よしよしプロジェクト」見学会 報告
― 知恵で、ヨシを復活−

 

再生したヨシ群
再生したヨシ群

2007年6月23日、梅雨の合間のさわやかな一日、「びわ湖自然環境ネットワーク」が2003年より行っている、ヨシ群落復元事業「びわ湖よしよしプロジェクト」を見学した。案内はネットワーク代表の寺川庄蔵さん。

■湖岸のえぐれは、人間のしわざ

びわ湖の水質はこのところ横ばいと言われているが、寺川さんは、実感としては年々悪化しており、水質改善のためには、ヨシさえ植えればよいと20年も前から思っていたそうだ。ヨシは、魚の産卵場所であり、水質を浄化する。かつてびわ湖岸に300へクタールあったヨシ群落は、今では130ヘクタールほど。行政も大規模な防波堤などでヨシの再生を試みたが成功せず、むしろ浮きヨシのいかだの残骸が、ブルーギルなどの産卵場所になっているという。ヨシの生育には水際の“渚”が大事だが、湖岸の砂地が侵食されており生育が難しくなっている。

〜湖岸がえぐれる理由〜
 1、ダム(の砂防堰堤)で砂の供給が止まった。
 2、びわ湖の水位操作。(水害に備えて、6月中頃には水位を低くする反面、1月には本来は水位が低いのに、+30センチにしなくてはならず、強風のため波が立ち、岸がえぐれる。)
3、びわ湖の砂利を採集している。

木造の魚道

木造の魚道

■現地見学 〜ヨシの復活〜

ヨシ復元は、びわ湖の西岸・志賀町中浜地先の浜で行われている。すぐそばの沖では、びわ湖独特の漁法「エリ」が仕掛けられ、右手には海水浴が出来るような白浜が広がっている。写真で見ていた実験前の浜は、ヨシ群落の一部が消失して群落が二つに割かれ、松は根元の砂がえぐられていた。しかし現地に行ってみると、松は白砂青松、ヨシの群落も一つにつながっていた。

ヨシの復元に当たっては、霞ヶ浦のアサザプロジェクトの「粗朶(ソダ)消波提」と宍道湖の竹ポット方式の二つを組み合わせた。「粗朶消波提」は、木枠をいかだのように重ね、その間に粗朶を詰めたもの。波はやわらげるが、水は行ききする堤だ。この粗朶消波提は、間伐材や芝で作るため、びわ湖を取り巻く田や里山の手入れもかねて一石二鳥。竹ポットは工夫を重ね、現在は竹をたてに半割りにしてヨシの根の波除けにしている。

この方法はまだ実験段階ではあるが、一定の成果を挙げており、水資源機構や国土交通省、滋賀県と共同で事業を行い、団体の財源も県からの助成金などで賄うことが出来るようになったという。しかし県は、河港課、保全課、水産課と課によってやり方が違い苦労すると言うことだ。

■魚道見学 〜頑張れアユ〜

その後、びわ湖へ注ぐ川の一つ“喜撰川”へ魚道を見学に行く。寺川さんは、あっという間に鮎を4〜5匹すくい上げ、一同感心する。魚道(表紙写真参照)は、高さの違う木の箱を組み合わせ、流れがゆるやかな川の端に設置してある。木で造っているので壊れることが前提だ。通常、鮎は60センチ程度の段差なら上れるそうだが、喜撰川の段差は1.3メートル。1.3メートルの段差を上れる鮎は全体の2割程度だという。魚道には、魚が上りやすいよう、段差に斜路をつけたり、最初の段を川の中央部に向けるなどの工夫がされている。しかしまだ、成果が上がったと言えるほどのデーターは出ていないそうだ。

■さいごに

びわ湖は、数々の条例や住民の方の長年のご苦労で、大いに守られているとの認識がある。しかし、ついぞ回復という言葉は聞かない。さらには、今回、びわ湖の湖底が低酸素状態になっていると聞き、ショックであった。しかし30分ほどの見学の間にも、鮎は魚道を遡上し、私たち人間の行いに反応してくれた。これらの問題を克服するのもまた私たちしかいない。(大林)

 


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