オール・スピーシーズ・ディ  全生物の日 京都

自然の権利(大阪) 阪本まもる

 今年(2002年)も10月13日(日)に多くの環境保全グループが集まり、夕闇の京都を丸太町から河原町、鴨川へと人間以外の生物に扮してパレードしました。「人間のことだけを考えるな!」と声を上げた人々の集い“オール・スピーシーズ・ディ”は、1994年から回を重ねて第8回、去年はアフガニスタン空爆の日と前後して「戦争は最大の環境破壊」というメッセージに、一般通行人や観光客の飛び入り参加が見られましたが、今年はそれも見られず、新聞記者のフラッシュがたかれることもない静かな行進でした。

 ジュゴン保護キャンペーンやタスマニア原生林保護を訴えながら、人間のあり方、暮らし方を自分自身に、街行く人に問いかけるパレードの一日体験を、順を追って書き記します。

 午前中は京都成安高校の米澤先生のご指導のもと、京都御苑の自然観察会、67fの国民公園、生物の多様性に富む大都会のオアシスを右も左もわからない私たち40人ほどで散策しました。「御苑の四季」を京都新聞に104回連載し、「京都御苑四季の花」という一冊にまとめた米澤先生は、本で紹介できた維管束植物は種の4分の1にも満たなかったと、園内の緑の聖域を熱心に案内されました。鳥類は猛禽類のオオタカをはじめカワセミ、夏鳥のアオバズクなど。菌類は400種をこえる記録が発表されていると、話しの尽きることがありません。私たちも、今夏セミの羽化数が京都市内でこの6年で最も少なかったことから、「セミの鳴き声が聞けないサイレントサマーがいずれやって来るのでは」と、せみの抜け殻を見つめて忍び寄る環境異変に、深く感じ入ったものです。

 その後、参加メンバーは昼食をとって水フォーラムのビルの4階の会場に集まり、琵琶湖の水上バイクによる水質汚染の報告や詩の朗読やうたを歌い、仮装の準備をして街へと繰り出しました。滋賀県の高校生やフリースクールの生徒たち、若い世代がこの運動を支えてくれています。仮装には、色彩デザイナーが参加し盲目の賛同者がその服装に身を包んだり、フィリピンのダンスを披露した子どもたちがこうもりやハチの仮面をかぶったり、ペンギンの着グルミに身をつつむ童話作家がいたりと華やいだものでした。

 

 1982年10月28日に国連総会は世界自然憲章を採択しました。同憲章では人間は自然の一部であること「すべての生命形態は固有のものであり、人間にとって価値があるか否かに関わらず尊重されるべきものであること、及び、そのことをそれらの生物に当てはめるために人間は行動を自己規制しなければならないこと」などが確認されました。さらに、同憲章が認めている一般原則には「地球上の遺伝子的生命力は常に優先され、また、野生状態にあるか人的管理下にあるかに関わらず全ての生命形態の個体数は少なくともその存続に充分なレベルで維持され、更にこの目的のため、必要な生息地は保護される」と記載され、人間の社会とは別に自然固有の利益、すなわち自然の権利を承認しています。更に、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)、世界遺産条約(世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)、ボン条約(移動性野生動物種の保全に関する条約)、生物多様性に関する条約などにおいても自然の権利は承認されています。

 日本国憲法は個人の尊厳を至上の価値に置いていますが、人間を中心にした価値観は世界自然憲章がいうように、人間も自然の一部であるという価値観に変わりつつあります。科学が進歩して自然への理解が進むほど人間の存在は特別なものではなくなっていきます。

 私たちは企業など土木開発をする人間たちには開かれた行政の前に身を置かなければなりません。個々人の人間の生存や生活を害する経済活動は、その活動がどのような経済利益をもたらそうとも、やってはならないことでしょう。これまでの日本の公害の歴史を見るよりも明らかです。

 来年もまた、オール・スピーシーズ・ディに参加してすべてのいのちがつながっていることを実感したいものです。

 

全生物の日 自然観察会 午前の部 全生物の日 自然観察会 午前の部

全生物の日 パレード 午後の部 全生物の日 パレード 午後の部 全生物の日 パレード 午後の部


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