picoのひろば -ピコの体験的勉強会の報告-

いざ見学へ古紙再生!
 『古紙がトイレットペーパーに変身』
 ―株式会社リバース工場見学―

2009年4月11日

いざ見学へ

案内の三好さん㈱リバース全景四月、桜が終わろうかと言う頃、大阪府泉南市にある古紙リサイクル工場・株式会社リバースの見学に行ってきました。株式会社リバースは、リバース(REBIRTH=再び生まれ変わる)の名前の通り、牛乳パックやオフィス古紙を再び生まれ変わらせ、トイレットロールとして世に送り出している会社です。南海本線「尾崎」駅より車で5分ほどの工場は、関空から10キロほどの距離。都会からも遠く、まだまだのどかな環境にありました。
工場に着くと、さっそく見学。ラジオのような器具を渡されイヤホンをつけると、案内の方の声が聞こえてきます。工場の音にもかき消されず、案内の方と離れても説明が聞ける便利なグッズは、さぞ見学の方が多いのだろうと、想像させました。


トイレットロール(ふつうトイレットペーパーと言っているもの)の製造工程

ストックヤード
ストックヤード牛乳パックやオフィス古紙など、約1,000tが保管されています。牛乳パックは、白いトイレットペーパーのための優良な資源で、印刷ミスなどによる未使用牛乳パックもありました。ちなみに、古紙の固まり1個は約1トン。
破砕
ラミネート加工された牛乳パック等を破砕して、溶け易くします。
パルパーと溶解
タンク破砕した古紙原料及び機密書類を溶解処理します。運ばれてきた機密書類は段ボール箱のままパルパー(※1)に投入され、毎時10tの古紙が溶かされます。溶解された古紙はタワーへ運ばれ、さらに13時間水に漬け込まれます。古紙は、ドロドロになり紙の繊維はバラバラになります。一番大きい700tのタンクに1日分の古紙全部が入っています。24時間でトイレットペーパーができる計算になります。
※1パルパー:溶解機。攪拌機のような機械で古紙を回転させて繊維をほぐす。
精選工程
異物を取り除いた古紙繊維リキッドサイクロンとスクリーン・リキッドサイクロン: ドロドロになった古紙から、バインダーの金具やクリップなどの重量異物を取り除きます。
・セパレーター: 遠心分離により、ホッチキスの針、セロテープ、ガムテープ等などを分離します。この過程があるので、機密書類も段ボール箱のままでOKなのです。
・スクリーン: さらにポリエチレン等の軽い異物を取り除き、紙の繊維だけにします。
脱墨工程(フローテーション)
気泡を発生させた水槽で、液体になったパルプからインクを除去します。インクは気泡によって浮いて来るので、上澄みを取り去り、洗濯脱水します。この時に、いろいろな古紙を混ぜ、最終的に同じ白さになるよう調整します。さらにオキシドールで、滅菌消毒します。
抄紙(しょうし:紙をすくこと)
抄紙機 ジャンボロール  こうして出来上がった紙を抄紙機に吹き付けて巻き取り、トイレットペーパーのジャンボロールを作ります。紙は巻き取る瞬間に乾き、1分に1,000mも巻き取ります。この日は、あいにく休日で巻き取っているところは見れませんでしたが、巻き取りは雄大だそうです。
 出来たジャンボロールは、幅2.56メートル、直径2m、1本あたり約2t。トイレットペーパーの長さは3800メートル。これを、1日(24時間)に25本ほど作ります。
加工工程
芯を作ってます 芯なしは最後まで使えます カットされたトイレットロールを検品してます 全自動ロボット・パレタイザー
・リワインダー: ジャンボロールから、芯あり・芯なしなど、製品規格に応じて巻き直し、ミシン目を入れたり、エンボス加工などを施します。
・ログカッターと検品と包装: トイレットロールの幅に輪切りにします。金属探知機による検品ののち各形態に包装し、クラフトケースや段ボールケースに入れ封緘します。株式会社リバースでは、5年前から最終の梱包を段ボールからクラフト紙による包装(クラフトケース)に切り替えています。クラフトケースは段ボールに比べてかさばらず軽いので、扱い易く、流通上もエコである上安価です。しかし圧力に弱いので、販売店の理解を得る難しさがあります。
製品保管
製品は、各包装ラインに直結されたベルトコンベアーで運ばれ、全自動ロボット・パレタイザーで積み上げられます。

ゼロエミッションを目指して

取り除かれた金属さて、トイレットロールが作られる過程で様々な物質がでます。金属は、リサイクル業者へ回されます。トイレットロールをカットした際の切れ端は、また材料としてパイパーへ。脱墨された汚水は、工場内にある排水処理施設へ。その際に出る汚泥は、スラッジヤードへ回され燃料として使われます。工場から出される物質は、製品であるトイレットロールと処理された排水と金属、あと、しいて言えば二酸化炭素でしょうか。
排水処理施設
排水処理施設の説明板と金魚製造に使用した水は、排水処理施設で、瀬戸内法の基準以下に浄化し川へ放流しています。排水は、バクテリアによる分解を利用した活性汚泥法で浄化しています。バクテリアが汚泥を食べて沈むので、きれいになった上澄みの水を別の槽へ移します。これを2回繰り返します。こうして出来た汚泥(固体)は、脱水しスラッジヤードへ運んで、燃料に加工します。放流前の水で金魚を飼っておられました。水の透明度は1m。
スラッジヤード
スラッジヤード RPG 
古紙の処理過程で出る汚泥スラッジや廃プラスチックは、木屑をまぜたあと、圧力をかけ、乾燥させて、RPF(固形燃料:Refuse Plastic & Paper Fuelの略)に加工します。このRPFは自社のエネルギーとして使っています。
 牛乳パックでは、重量の75%が古紙、25%が廃プラだそうです。株式会社リバースでは、日に4tのRPFが出来るとのことでした。

「株式会社リバースさん」って、こんな会社!

クラフトケースで発送を待つ、トイレットロールの山株式会社リバースは、1日75~80tの材料から、月間1,500tのトイレットペーパーを作っています。トイレットロールを1個150グラムとすると、1日に平均なんと約33万個。しかしこれでも、トイレットペーパーのシェアは15%なのだそうです。トイレットロールはかさばるので近いエリアで作るのが基本だそうで、主に関西圏に出荷されています。
関大オリジナルブランド株式会社リバースのトイレットペーパーは古紙100%です。ふつうのトイレットペーパーは、古紙:バージンパルプ=7:3から8:2の割合だそうで、古紙100%にするには、上質の古紙が必要です。しかも肌触りが良く、古紙でも品質にこだわって作っている姿勢が分かりました。
また、泉大津市役所や関大などのオリジナルブランド・トイレットペーパー作りのお手伝いをしています。預った古紙そのものでトイレットペーパーを作ることは出来ませんが、預った古紙に見合うトイレットロールに独自ブランドの包装をして納入しています。

最近の古紙事情

現在、中国の古紙需要は低下しており、古紙事情は厳しい状況です。2007年9月頃までは、中国でつくって日本に売っていましたが、サブプライムローン問題からこっち、古紙の原料になる上用の製紙の生産も減り、古紙価格は4円/㎏くらいに下がっています。中国の発展のスピードは速く、良くなって来ているので、むしろ日本のノウハウが欲しい時代に入ったのではないでしょうか。
(関西製紙原料事業協同理事・談)

工場見学を終えて

メーカーは、より良いものを作るのが使命であり、消費者もそれを望んでいます。しかし、紙も限られた資源です。またトイレットペーパーを作るエネルギーも限られたものです。その上、製造過程ででる汚水の処理には、瀬戸内法などの様々な基準をクリアーしなくてはなりません。各種トイレットペーパーそんな事を考えれば、もう二度とリサイクルの輪に戻ってくることのないトイレットペーパーは、もっとシンプルでもいいのではないでしょうか。そこで、「エコなトイレットペーパーの3か条」を考えてみました。
 1.色はグレー
 2.紙はフワフワでなく
 3.ロールはゆがんでいる。
果たして、私たちは自らの力で、エコな生活へと、変われるのでしょうか。
 ― 文: pico大林 ―